2022年6月19日から23日にかけて、世界各国の電気推進ロケット研究者が研究成果を発表する学会、37th International Electric Propulsion Conference (IEPC) がアメリカのボストンで行われたので、参加、発表してきました。
電気推進ロケットは、電気エネルギを推力に変える装置です。青柳研究室で研究しているパルスプラズマスラスタも電気推進ロケットの一種なので、このIEPCで発表することが青柳研究室の目標の一つでもあります。
IEPCは2年に1度、アメリカやヨーロッパを中心に開催される学会です。日本でも開催されたことがあります。今回のボストン大会は本来は2021年に開催される予定でしたが、半年ほど延期されていました。
会場はMassachusetts Institute of Technology (MIT) でした。
上の写真はMITのシンボル的建物、通称グレートドームです。
会場はこのグレートドームの隣くらいにある、Kresge ComplexとStratton Student Centerでした。
青柳研究室からは2件の発表をしました。1件目は、青柳の口頭発表でした。
Effect of Electrodes Dimensions of 2 J Electromagnetic Pulsed Plasma Thruster for Small Satellites
Aoyagi Junichiro, Oguri Yuma, Batchuluun Battushig, and Mori Arisa (University of Yamanashi)
使える電力が少ない小型衛星でも動かせる、小型のパルスプラズマスラスタについての研究で、電極形状が推進性能に与える影響を発表しました。
ポスターセッションは、ボストン科学博物館 (Boston Museum of Science)で行われました。
ボストン科学博物館はMITの会場と離れているので、バスの送迎がありました。
青柳はポスターセッション開始まで時間があったのでMITから歩いてみましたが、結構遠くて時間かかりました。
帰りはバスに乗りました。
2件目の発表は、青柳研の修士課程学生によるポスターセッションでの発表でした。
Effect of Ablation of Annular Propellant and Center Anode of Coaxial Pulsed Plasma Thruster
Fukasawa Yuto, Noda Reo, Yoshimitsu Shohei, and Aoyagi Junichiro (University of Yamanashi)
パルスプラズマスラスタの電極と推進剤の形を工夫して、推力を上げることができました、という発表をしました。
ポスターセッションは、研究成果を大きなポスターにまとめて、それを掲示します。
たくさんのポスター(発表)が一度に張られるので、参加者は自由に発表内容を見て回ることができます。
発表者は決められた時間の間は自分のポスターの前にいて、見に来てくれた人に内容の説明をしたり、質問に答えたりします。
自由な対話方式になるので、口頭発表とは違う緊張感と楽しさがあります。
ボストン科学博物館は、子供でも物理や化学や生物や数学などのことを知ることができる展示がたくさんありました。
ポスターセッションが終わったあともポスター前で研究内容について議論が行われていたり、科学博物館の中を自由に見て回ることができました。
電気推進ロケットはいろいろな種類があるので、学会期間中は複数の部屋で同時に発表がありました。下の表はその概要です。今回は9セッション平行開催でした。聞きたい発表を探して自由に部屋に出入りします。
朝と夕方にはKresge Complexの大きな会場で講演などがありました。
今回のボストン大会は、コロナ等による渡航規制や国際情勢もあって、日本からの参加が少なかったり、中国、ロシア、ウクライナからの参加が無かったりしましたが、新鮮な研究成果が生で聞けてよかったです。
以上になります。